神戸地方裁判所伊丹支部 昭和49年(ヨ)55号 決定 1974年7月05日
債権者 国
訴訟代理人 河原和郎 外三名
債務者 島田城こと金尚圭
第三債務者 能勢観光開発株式会社
仮差押決定
当事者の表示<省略>
請求の表示 別紙のとおり
右当事者間の昭和四九年(ヨ)第五五号仮差押申請事件について、当裁判所は、保証として債権者に金一〇万円也を供託させた上、その申請を理由があると認め、次のとおり決定する。
主文
債権者が債務者に対して有する別紙(二)債権の表示記載の債権の執行を保全するため、債務者が第三債務者に対して有する別紙(三)仮差押財産の表示記載のゴルフ会員権を仮りに差押える。
債務者は右ゴルフ会員権について名義の書換えその他一切の処分をしてはならない。
第三債務者は債務者に対し右ゴルフ会員権の譲渡の承諾、名義書換え、入会保証金の返還その他一切の変更手続をしてはならない。
債務者が前記の債権額を供託するときは、この仮差押命令の執行の停止又は既になされた執行処分の取消を求めることができる申請費用は債務者の負担とする。
(裁判官 稲垣喬)
別紙(一)<省略>
別紙(二) 債権の表示
一 金四、七一五、六二六円也
ただし債権者の差押にかかる申請外株式会社新栄製作所の債務者に対する不当利得返還請求権。
別紙(三) 仮差押財産の表示
能勢カントリー倶楽部にかかる会員権
記
会員の種別 正会員
入会保証金の額 二〇〇、〇〇〇円
ただし、債務者の、第三債務者が経営かつ権利を有するゴルフ場施設を優先的に利用しうる用益権ならびに入会保証金(預託金)の返還請求権。
別紙 ゴルフ会員権仮差押命令申請書
申請の趣旨
1 債権者が債務者に対して有する別紙(二)債権の表示記載の債権の執行を保全するため、債務者が第三債務者に対して有する別紙(三)仮差押財産の表示記載のゴルフ会員権を仮りに差押える。
2 債務者は、右ゴルフ会員権について、名義の書換えその他一切の処分をしてはならない。
3 第三債務者は、債務者に対し、右ゴルフ会員権の譲渡の承諾、名義書換え、入会保証金の返還その他一切の変更手続をしてはならない。
との裁判を求める。
申請の理由
一 国税債権の存在<省略>
二 滞納会社の債務者に対する不当利得返還請求権(被保全権利)の存在および債権者の取立権の取得<省略>
三 仮差押財産の性質・第三債務者の地位
債務者は、第三債務者に対して、いわゆる預託金ゴルフ会員権、即ち、第三債務者が経営しかつ権利を有するゴルフ場施設を優先的に利用しうる用益権ならびに預託金(「入会保証金」)金二〇万円の返還を受ける権利を有している。本件仮差押の目的物は右の会員権である。
もつとも、債務者は、能勢カントリー倶楽部(以下「倶楽部」という。)に所属し、右倶楽部との間で、前記ゴルフ場施設の利用ならびに預託金に関する契約を締結しているかのような形態をとつている<証拠省略>が、倶楽部は、法人格はもちろん、社団としての実体も有しない<証拠省略>もので、債務者は、第三債務者に対して、直接、ゴルフ場施設利用権ならびに預託金返還請求権を主張しうる地位にある。
四 保全の必要性
1 債務者は、債権者のその後の支払催告<証拠省略>にもかかわらず、これまで全く前項の不当利得返還金の支払いをなさず、且つ将来支払う意思さえ窺えない状況にあるので、債権者は債務者に対して右差押債権の支払いを求めるため本案訴訟を提起すべく準備中である。
2 ところが債務者には申請の趣旨記載のゴルフ会員権以外に財産所有の事実がなく、右会員権については譲渡その他の処分をなすおそれがある<証拠省略>。
かくては、債権者が将来本案訴訟において勝訴したとしても、これもとづく執行がその実効をおさめ得なくなることは明らかである。
よつて、これが執行の保全をするため本申請に及ぶ次第である。
疎明方法<省略>
添付書類<省略>